春なのに‥

季節の変り目は‥

 

 春三月、別れの時期か‥。

 人との別れも多いのがこの時期で、なんと毎日知人の訃報が届くもこの頃だ。悲しみでお別れに出向くのだが、お葬式が終わった後に供花のおすそ分けがあって花束が強制的に渡される。

 私は菊の花が嫌い、だって個人のことが思い出されて‥捨てることもできないし、飾っておくのも嫌だし‥。だから「すみません‥菊の花のないのを頂きたいのですが‥」

 先日からのお花の頂き物で我が家は豪華な百合の花や名も知らない高そうな花で花盛り。これは絵の材料になるなと思いながらも描くのもちょっと躊躇する。

 数年前のことだが和尚さんが「これは個人に奉げたものだから会葬者に手渡さないこと!」ときつく言わて残った花の多さに喪主家族は大弱りして「お願い! 好きな花を持って行って」とこっそり言われ、「ありがとう、では遠慮なく」と多抱えして「なんだか結婚式に来たみたいだねェ」となった。そんなことを思い出しながら

「菊の花は遠慮します」に「いいのですよ、それも供養ですからどの花にしましょう」と言ってくださり、遠慮なく頂いてきた。我が家ではちょっと買えない花盛りに故人をしのんでいる。